2025年7月29日、公益社団法人 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)経営基盤本部 クラブライセンス事務局 より、2024年度クラブ経営情報開示資料(本発表)が公開されています。
早速ですが、2024年度J3に所属した20クラブの主要決算指標について過去5年間の推移をまとめました。
J1クラブの主要決算指標まとめはこちら。
J2クラブの主要決算指標まとめはこちら。
営業収入(売上高)
営業収入(売上高)はスポンサー収入、入場料収入、Jリーグ分配金などの収入の合計値。
2024年度の営業収入トップ3は
1.大宮(26.4億円)
2.松本(14.3億円)
3.今治(13.5億円)
対前年(2024年度)比のトップ3は
1.宮崎(233.9%)
2.相模原(221.0%)
3.金沢(146.3%)
トップ3は前年度変わらず。
一方で、宮崎、金沢、相模原が前年度対比大きく営業収入を伸ばしている。

スポンサー収入/入場料収入/物販収入
営業収入(売上高)のうち、クラブ経営の3本柱と言われている「スポンサー収入」「入場料収入」「物販収入」について見てみたい。
まず、スポンサー収入。
スポンサー収入とは広告収入とも呼ばれるもので、チームを支援してくれる法人や企業から支払われる収入のこと。具体的には、ユニフォームや練習着、看板に掲示する協賛金などが該当する。
2024年度のスポンサー収入トップ3は
1.大宮(15.7億円)
2.相模原(8.6億円)
3.今治(8.0億円)
多くのクラブが5億円以下である中、大宮が15.7億円と突出している。
八戸、福島、富山、金沢、沼津、今治が近年増加傾向。
一方、松本は近年減少傾向。

次に、入場料収入。
入場料収入とは、ホームスタジアムで来場者が支払うチケット代金から得られる収入のことであり、「入場者数×チケット価格」で決まる。
2024年度の入場料収入トップ3は
1.松本(3.2億円)
2.大宮(2.6億円)
3.金沢(1.7億円)
大宮、松本が前年度同様にJ3では飛びぬけているが、金沢、富山が前年対比大幅上昇。
金沢はサッカー専用スタジアムのゴーゴーカレースタジアムが竣工した効果が大きく、前年対比倍以上の1.7億円。
富山は惜しくもJ2昇格を逃したが、3位の好成績が寄与して前年対比約3倍の1.4億円。

次に、物販収入。
物販収入とは、関連グッズやユニフォームなどの売り上げにより得られる収入のこと。
2024年度の物販収入トップ3は
1.大宮(2.24億円)
2.松本(1.77億円)
3.金沢(1.15億円)
物販収入は多くのクラブで右肩上がりである一方、鳥取はここ2年減少傾向。

トップチーム人件費
次に、支出面(営業費用)の中で5割以上の割合を占める「トップチーム人件費」について見てみる。
トップチーム人件費とは、選手報酬(基本給)や選手報酬(成果給)、監督・スタッフ報酬などが含まれる。
2024年度のトップチーム人件費トップ3は
1.大宮(7.2億円)
2.松本(4.7億円)
3.今治(4.0億円)
人件費が増加傾向にあるのは、八戸、福島、YS横浜、相模原、富山、金沢、沼津、今治、宮崎。
一方、減少傾向が見られるのは、松本、岐阜、北九州、琉球。

純利益
純利益とは、1年間に稼いだお金から各種費用や税金などを差し引いた残りの利益、のこと。
純利益がプラスであれば「黒字」、マイナスであれば「赤字」になる。
J3は多くのクラブで収支は厳しく20クラブ中12クラブで赤字。
具体的には、福島(▲1.60億円)、大宮(▲0.37億円)YS横浜(▲0.23億円)、松本(▲1.92億円)、長野(▲1.20億円)、金沢(▲0.91億円)、奈良(▲0.13億円)、讃岐(▲0.78億円)、今治(▲1.73億円)、北九州(▲0.38億円)、宮崎(▲0.38億円)、琉球(▲3.42億円)。
福島は4期連続、YS横浜、松本、長野は3期連続の赤字となっている。
一方、八戸は僅かながらもJリーグ参入した2019シーズンから黒字経営を6期連続で継続。
2024年度の純利益額トップ3は
1.相模原(0.32億円)
1.岐阜(0.32億円)
3.沼津(0.16億円)

純資産
純資産とは、会社(クラブ)が所有する資産の総額から負債の総額を差し引いたものであり、誰かに返済する義務のない純粋な会社の資産のこと。
純資産がマイナス(会社が負債を抱えている)の状態を「債務超過」と呼ぶ。
2024年度に債務超過に陥っているのは、YS横浜(▲0.83億円)、相模原(▲4.9億円)、鳥取(▲3.0億円)の3クラブ。
一方で、2024年度の純資産額トップ3は
1.今治(14.0億円)
2.松本(3.5億円)
3.大宮(1.7億円)
多くのクラブは純資産1.0億円以下にとどまる中、今治は14.0億円と突出している。これはオーナーである元日本代表監督岡田武史氏の強力な資金調達力等による財務強化によるところが大きい。


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