歴代最強と言われ、3大会振りの優勝を期待されてアジアカップに臨んだ日本代表でしたが、準々決勝でFIFAランキング21位(2023年12月21日付)のイランに1-2で敗れ敗退。
アジアカップ前までは、ドイツやペルーなども下して国際Aマッチ10連勝と好調を維持してきましたが、グループリーグでイラクに敗戦したところで切り替わるかとも思われましたが、決勝トーナメントに入ってもグループリーグのふわっとした雰囲気のまま敗退までいってしまった印象です。
日本代表がワンランク上のチームになるためにはまだまだ課題があるなと感じた大会になりました。
イラン戦敗戦から日本代表の課題を考えます。
課題① 戦術・ベンチワークの弱さ
この試合の一番の敗因は「戦術・ベンチワークの弱さ」と考えます。
イランは日本に1点先制されてからは攻撃時の布陣を3-3-4にしたうえで、毎熊とイエローカードを1枚もらった板倉の背後を特に狙ってきているのは明白でした。
イランに1点返されて流れが完全にイランにいき、より苦しい時間帯が続いていたのにも関わらず、布陣変更や選手交替で対策を打つことができなかったのでは失点は時間の問題。
2失点目は必然だったと言えます。
策として、CB板倉を町田に替えたり、3CBにしてスペースを埋める、といったことがまずできたと思います。
また、過密日程で終盤には疲労の見えた遠藤も佐野海舟に替えるなどの交替もあっても良かったのではないでしょうか。佐野海舟はここ最近の試合ではいい働きをしていただけに使わないのはもったいなかった。
森保監督もイラン戦敗戦後のインタビューで「私自身が交代カードをうまく切れなかったのが敗因」と言っていましたが、戦術や選手交替の弱さはカタールワールドカップ前からずっと言われていたこと。
選手の自主性に任せている、と言えば聞こえはいいですが、選手のいろんな意見を纏めたり、チームが苦しいときに方向性を示すことは指揮官の重要な役割。
特にイラン戦のようなぎりぎりの戦いにおいて、試合中に局面が変わっていったときに、都度チームの方向性を指揮官が明確に示すことはピッチ内の選手が混乱せずプレーに集中するためには不可欠です。
個人的には、森保監督の人柄は非常に尊敬しているため、コーチ陣に戦術眼に長けた方がいると良いバランスが取れるのではと感じます。
課題② GKと守備陣の連携面の不安
今大会は5試合で8失点。
無失点は1試合もなく終わりました。
この裏にあった大きな問題として「GKと守備陣の連携面の不安」があったと思います。
(彩艶個人が悪かったという気は全くありませんしポテンシャルには疑いの余地はありません。)
GKは唯一無二の存在。
チームに安心感、安定感を与えられるものでなければなりません。
強いチームには必ず
「ここを抜かれても○○ならなんとかしてくれる」
「(ボール保持時)○○がいるから安心してチャレンジできる(失ったときのことを過剰に考えなくて済む)」
と思われるようなGKがいます。
しかし今大会の日本代表はそうではなかった。
全ての試合通じてGK-DF間の連携は不安定で、DFはGKとの間のスペースやそこに来たボールの処理にいつも以上に気を使わなればいけない状況だったとみています。
イラン戦でも冨安が背後に入ったボールに対していつも以上にクリアに入っているシーンが何度か見られたので多分そうだったのだと推測できる。
これは彩艶に限った話ではなく、前川、野澤でも同じ。
失点に直結するGK-DF間の連携は特にアイコンタクトや無意識でなんとなく通じる関係が好ましいが、今大会は全員日本代表で経験の浅いGKだった。
GKは守備の要で精神的な支柱になるだけに、試合に出なくとも経験豊富なGKがいたら違ったのだろうなと感じます。
課題③ 闘える選手が少ない
今の日本代表を表すと「過去一番上手いチーム」ではあるけれど、「強いチームではない」というような感じ。
「何としてもこのボールを取る」「絶対に負けない」「絶対ゴールを決める」といった執念を感じるようなプレーだったり、劣勢のときにチームを鼓舞できる選手が少ないと思います。
このような根性論のような話は今の時代避けられがちかもしれませんが、ぎりぎりの勝負において勝敗を分けるのは最終的にはこういった部分だと思っています。
例えば、歴代の日本代表でいえばドーハの悲劇の頃のラモス瑠偉やカズなどは今の代表よりも技術面では劣りますが、勝利に対する執念でいえば今より上回っている気がします。
また、少し前では闘莉王や本田圭祐、岡崎慎二みたいな選手。
これらの選手はいるだけで何かやってくれそうな気迫がありますし、プレーで試合の雰囲気をがらっと変えることができました。
今の代表でいうと堂安や冨安辺りがそのような選手になると思いますが、特にアジアでは相手はチーム一丸となって日本代表を倒そうとしてくるので、闘える選手が増え、闘えるチームになることを期待します。
良かった点 ストライカーの台頭
一方で、今大会で良かった点を挙げるとすればこれ。
「ストライカー上田綾世の台頭」でしょう。
今大会では4得点に加え、アシストや相手のオウンゴール誘発も含め多くのゴールに絡み日本代表の攻撃を牽引。
特に、バーレーン戦2点目の相手DF 3人をワンタッチでかわしてのまた抜きシュートやイラン戦1点目に繋がるポストプレーはうなるものがありました。
ポストプレーをしっかりでき、チャンスメークそして自らゴールを奪うことができる典型的なCFタイプで、今の日本代表にかけていたピースを埋める存在になりそう。
まだ25歳と若いですし、今後のステップアップも期待。
最後に・・・
次の日本代表は、3/21に行われるワールドカップ2次予選の北朝鮮戦。
残念ながら今回のアジアカップは取れなかったですが、ここ一年ほど上手くいきすぎていたところもあるので、今回のアジアカップでの敗戦が大きな糧になると良いと思います。
より強くなった日本代表が見られるといいですね。
それでは、また。
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