日本サッカー協会(JFA)は2024年6月19日に開催したレフェリーブリーフィングで、国際サッカー評議会(IFAB)が決議した2024-25競技規則の改正点について説明を行いました。
改正内容は主に以下4点。
①脳震盪による交代
②偶発的なハンドによるPK
③PKのセット
④PKの侵入
なお、今回の改正についてJリーグではJ1が8月7日、J2が8月3日、J3が8月17日を適用開始日としています。
それぞれの内容について見ていきましょう。
脳震盪による交代(動画 00:31~)
2021年以降試行が続けられてきた脳震盪による交代が、今回の改正で正式なルールとなりました。
内容は、「各チーム最大1人まで、使用すると相手チームに通常の交代枠と交代回数が1つずつ追加」というもの。
これまで日本では「各チーム最大1人まで」の方式が用いられていましたが、今後は「脳震盪による交代を行うと相手チームに通常の交代枠と交代回数が1つずつ追加される」ことになります。
それにより各チームは最大で7枚の交代枠を行うことができるようになります。
つまり、もし最大の交代枠を使うことになった場合には、交代枠の人数(7人)から考えて控えGKがフィールドで出場するケースももしかしたらあるかもしれません。
これまでとの差異を纏めた表を以下に示します。
偶発的なハンドによるPK(動画2:00~)
次は、ハンドの反則によってPKになった場合の懲戒罰についてです。
意図的ではない(偶発的な)ハンドの反則は、懲戒の罰則がこれまでより一段階下がることになりました。
つまり、意図的でないハンドでPKとなった場合、事象がSPAであればノーカードに、DOGSOであれば警告に格下げされます。
意図的でないハンドの事例としては「体から離れていた腕にシュートが当たった場合」などが挙げられます。
これまでとの差異を纏めた表を以下に示します。
PKのセット(動画04:28~)
続いては、PK時のボールのセット位置について。
これまではボールのセット位置が明確ではありませんでしたが、今回の改正で「ボールはペナルティマークの中心にボールの一部が触れるorかかっている状態で静止していなければならない」と定められました。
上記の条件を満たしていれば、ボールを前後左右どこにでも置くことが可能です。
可不可の内容を以下に図示してみました。
④PKの侵入(動画05:26~)
最後にPK時の侵入について。
PK時、キッカー、GK以外の競技者(その他競技者)のペナルティエリア内への侵入についてはこれまでも競技規則により侵入が禁止されていましたが、その他競技者の侵入の特定や管理は審判員にとって困難なものであったため、厳格に判定されることは少なく、時には議論になることもありました。
一方で、VARの導入によりその他競技者の侵入を細かく確認できるようになったことから今回の改正に至りました。
改正の内容は、「その他競技者の侵入の「影響」を重視」するものです。
仮にこれまでのルールにおいてVARで厳格に判定するとなると、ほとんどのPKでは得点orセーブは認められず、再び行わなければなりません。(誰かしらの競技者の侵入が見られた。)
そこで今回の改正では、キッカーもしくはGKへの「影響」を重視し、キッカーもしくはGKに明らかな「影響」を与えていない場合はそのまま続行すること、としています。
一方で、競技者のわずかな侵入でもこぼれ球に直接反応し、「ボールをプレー、またはボールに向かうことで相手競技者にチャレンジして、その後、得点する、得点しようとする、または得点の機会を作り出す」ことや守備側競技者が「ボールをプレー、またはボールに向かうことで相手競技者にチャレンジして、相手競技者が得点する、得点しようとする、または得点の機会を作り出すことを妨げる」ことは反則となる、としています。
このように「影響」が重視されるものではありますが、「影響」を与えなければ侵入してよいわけではなく、侵入しないことが原則であるとJFAは言及しています。
それぞれのケースについて、以下のようにフローチャートに纏めました。
最後に・・・
個人的な印象としては、PKの侵入に関して「影響」したかどうか、という点についてどの手程度の匙加減となるのかはなかなか難しそうであるため、適用後のPK時には注目してみたいと思います。
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