2024年5月21日、Ｊリーグは2023年度クラブ経営情報開示（先行発表）に関するメディア説明会を開催しています。（3月決算の柏、湘南を除く58クラブが対象）
全クラブの概要については2023年度クラブ経営情報開示資料（先行発表）にて説明されているため割愛させていただき（以下リンク参照）、ここでは2024年度Ｊ２に所属する20クラブの主要決算指標について過去5年間の推移をまとめました。
Ｊ１各クラブの2023年度決算に関する記事はこちらをご参照ください。
Ｊ３各クラブの2023年度決算に関する記事はこちらをご参照ください。
営業収入（売上高）
営業収入（売上高）はスポンサー収入、入場料収入、Ｊリーグ分配金などの収入の合計値。
2023年度の営業収入トップ３は
１．清水（51.0億円）
２．横浜ＦＣ（36.3億円）
３．千葉（26.5億円）
営業収入トップの清水はＪ２降格の昨シーズンも営業収入は前年度同等であり、Ｊ１中位に位置する規模。
また、多くのクラブで営業収入が右肩上がりの傾向にあり、地方クラブにもＪリーグが浸透してきていることが窺える。
対前年(2022年度)比のトップ３は
１．藤枝（198.8%）
２．いわき（139.9%）
３．横浜ＦＣ（126.8%）
いずれの上位３クラブもカテゴリ昇格の寄与が大きいと推測。（藤枝、いわき：Ｊ３→Ｊ２、横浜ＦＣ：Ｊ２→Ｊ１）
ちなみに、その他収入とは、①賞金、②移籍金収入、③サプライヤー契約収入 、④ファンクラブ・後援会収入 、⑤イベント出演料 、⑥その他、の6項目のこととＪリーグ経営ガイドに記載されている。
スポンサー収入／入場料収入／物販収入
営業収入（売上高）のうち、クラブ経営の３本柱と言われている「スポンサー収入」「入場料収入」「物販収入」について見てみる。
まず、スポンサー収入。
スポンサー収入とは広告収入とも呼ばれるもので、チームを支援してくれる法人や企業から支払われる収入のこと。具体的には、ユニフォームや練習着、看板に掲示する協賛金などが該当する。
2023年度のスポンサー収入トップ３は
１．清水（29.1億円）
２．仙台（17.0億円）
３．ＦＣ東京（16.2億円）
Ｊ２では清水がダントツ。
これはＪ１（2023年度）でも３番目の額となる。
また、多くのクラブが前年比同等～増額傾向の中、千葉のみここ数年減少傾向が見られる。
次に、入場料収入。入場料収入とは、ホームスタジアムで来場者が支払うチケット代金から得られる収入のことであり、「入場者数×チケット価格」で決まる。
2023年度の入場料収入トップ３は、
１．清水（8.4億円）
２．横浜ＦＣ（5.2億円）
３．仙台（3.8億円）
2023年度は多くのクラブでコロナ前の2019年度の入場料収入を上回ったが、一部クラブ（仙台、山口、長崎、大分）ではコロナ前の水準にも大きく及ばない。
チーム成績が影響していると推測する。
次に、物販収入。
物販収入とは、関連グッズやユニフォームなどの売り上げにより得られる収入のこと。
2023年度の物販収入トップ３は
１．甲府（3.2億円）
２．横浜ＦＣ（2.4億円）
３．大分（2.2億円）
甲府は前年比209.1%の大幅な伸びを記録。
ＡＣＬ出場の効果が大きいと推測する。
山形、横浜ＦＣ、大分、鹿児島などのクラブで物販収入が増加している一方で、物販収入を近年大きく減少させているクラブが清水、仙台の２クラブ。
清水は2019年度比49.7%、仙台に至っては2019年度比わずか7.8%となっている。
トップチーム人件費
次に、支出面（営業費用）の中で５割以上の割合を占める「トップチーム人件費」について見てみる。
トップチーム人件費とは、選手報酬（基本給）や選手報酬（成果給）、監督・スタッフ報酬などが含まれる。
2023年度のトップチーム人件費トップ３は
１．清水（22.5億円）
２．横浜ＦＣ（20.9億円）
３．仙台（10.4億円）
ここ数年右肩上がりで増加傾向にあるのは、秋田、山形、群馬、横浜ＦＣ、清水、藤枝、長崎。
一方、ここ数年右肩下がりで減少傾向が見られるのは、仙台、千葉、山口、愛媛。
純利益
純利益とは、1年間に稼いだお金から各種費用や税金などを差し引いた残りの利益、のこと。
純利益がプラスであれば「黒字」、マイナスであれば「赤字」になる。
2023年度赤字のクラブは、秋田（▲0.23億円）、栃木（▲0.41億円）、群馬（▲0.27億円）、千葉（▲0.54億円）、横浜ＦＣ（▲3.44億円）、岡山（▲0.60億円）、鹿児島（▲0.38億円）の7クラブ。
群馬、横浜ＦＣの2クラブは3期連続の赤字となっている。
一方で、2023年度の純利益額トップ３は
１．藤枝（1.2億円）
２．熊本（0.9億円）
３．仙台（0.8億円）
純資産
純資産とは、会社（クラブ）が所有する資産の総額から負債の総額を差し引いたものであり、誰かに返済する義務のない純粋な会社の資産のこと。
純資産がマイナス（会社が負債を抱えている）の状態を「債務超過」と呼ぶ。
2023年度に債務超過に陥っているクラブは、横浜ＦＣ（▲1.7億円）のみ。
一方で、2023年度の純資産額トップ３は
１．徳島（13.6億円）
２．千葉（3.8億円）
３．甲府（3.2億円）
純資産を右肩上がりに伸ばしているのは、山形、甲府、岡山、徳島、愛媛、熊本。
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