【データでグランパス】時間帯別ゴール期待値を考察!2023シーズンとの比較。リード時/ビハインド時は変わる?

グランパス

前回の【データでグランパス】で、今シーズンの第1節~第17節について、(被)30mライン侵入回数、(被)ペナルティエリア侵入回数、(被)ゴール期待値を可視化したところ非常に興味深いデータが得られたことを示した。

その際、「「負け試合のリードを許してからor試合終盤の数値は?」といった試合展開が各数値に影響を及ぼすのか?という点も気になりました!」という非常に興味深いコメントをいただいた。

そこで、今回は指標の一つであるゴール期待値について時間帯別で見てみることにした。

シュートに至った場面のみの指標になるので、それ以外の攻撃(守備)は加味されないが、相手をどれくらい押し込むことができたか(相手にどれだけ押し込まれたか)についてざっくり確認するには充分見ることが可能と考える。

また、単純に今シーズンのデータを見るだけでは良し悪しが分かりづらいので、2023シーズン第22節新潟戦以降(マテウス移籍以降)のデータと比較することとした。

2023シーズン後半は、特に攻撃面では苦しみ、リードされている場面でもなかなか相手を押し込むことができなかったことや控え選手を効果的に使えなかったことが記憶に新しいだけに比較すると面白いのではと考えた。

※本記事のデータは、SPORTERIA内の画像データから抜粋しております。抜粋データになりますので、数値には若干の誤差がある可能性のあることご了承ください。

時間帯別得点/失点

ゴール期待値の前に実際の得点/失点数を確認した。

それぞれ左は2023シーズン(第22節以降)、右は2024シーズンの時間帯別得点/失点(累計)のグラフであるが、この時点で昨シーズンとの違いは一目瞭然。

2023シーズンについて、得点は時間帯での傾向は見られない一方で、失点は立ち上がり15分と試合終盤30分で計15失点と全体の約94%を占めており、チームの不安定さがよくわかるデータとなっている。

一方、2024シーズンについて、失点は試合終盤に若干増加傾向にあるが、2023シーズンほどではない。逆に得点は試合終盤30分で計12得点と全得点の60%を占めており、試合終盤に強さを見せていることがわかる。

時間帯別ゴール期待値/被ゴール期待値

では次に、時間帯別のゴール期待値/被ゴール期待値について見てみる。

ゴール期待値が高いほど相手を押し込み、よりゴールしやすい場面でシュートを打つことができた。反対に、被ゴール期待値が高いほど相手に押し込まれ、より危険な場面でシュートを打つ機会を与えてしまった、と言える。

左は2023シーズン(第22節以降)、右は2024シーズンの時間帯別ゴール期待値/被ゴール期待値(平均)のグラフであるが、こちらも違いは一目瞭然。

2023シーズンについて、ゴール期待値は時間帯による傾向はほぼ見られない一方で、被ゴール期待値は試合終盤15分で他の時間帯の1.5~3.0倍近くの数値(90分換算すると1.98)と非常に高い値となっている。ここから試合終盤になるにつれて押し込まれる場面が多かったと推定できる。

一方、2024シーズンについて、被ゴール期待値は時間帯による傾向はあまり見られないが、ゴール期待値は後半15分ごとに右肩上がりとなっており、試合終盤15分では0.30(90分換算すると1.80)と高い値。ここから2023シーズンとは反対に試合終盤になるにつれて相手を押し込む場面を多く作ることができていると言えそう。

さらに2024シーズンについて、内容が良くなってきてからの直近のデータを確認するとより顕著。

以下は直近10試合(第8節磐田戦~第17節川崎戦)の時間帯別ゴール期待値/被ゴール期待値であるが、先ほどの2024シーズンのデータと比べて被ゴール期待値は多くの時間帯で低くなっているとともに、後半45分間のゴール期待値が軒並み高くなっている。

ここから直近10試合では今シーズン序盤と比較して、試合を通して相手に押し込まれる場面が減った(被ゴール期待値が低い)、また、後半相手を押し込む場面が増えた(ゴール期待値が高い)、ということができるだろう。

リード時/同点orビハインド時は?

では先ほどのデータについて、さらに状況ごとに分けてみると何か変わるだろうか。

そこで、後半スタート時において、①リードしている状況(リード時)と②同点orリードされている状況(同点・ビハインド時)それぞれについて、後半の時間帯別ゴール期待値/被ゴール期待値がどうであったか見てみた。

理想的には、リード時には被ゴール期待値が高くないこと(相手に同点にするチャンスを作らせないこと)、あわよくばゴール期待値が高いこと(追加点を取るチャンスを作れること)であり、同点orビハインド時にはゴール期待値が高いこと(勝ち越しもしくは追いつくためのチャンスを多く作れること)、そして被ゴール期待値が低いこと(相手に勝ち越しもしくは追加点を奪われるチャンスを作らせないこと)である。

①リード時

まず、①リード時について。

左は2023シーズン(第22節以降)、右は2024シーズンの時間帯別(後半のみ)ゴール期待値/被ゴール期待値(平均)のグラフである。

2023シーズンについて、試合終盤にかけてゴール期待値は0.33→0.14→0.07とかなり下がる一方で、被ゴール期待値は最後の15分は0.39とそれ以前より大幅に上昇している。終盤15分は相手に押し込まれる場面が多く、相手ゴールにほぼ迫れなかったことが推測できる。

2024シーズンについて、終盤15分の被ゴール期待値は2023シーズンとそれほど変わらないが、ゴール期待値は試合終盤にかけてそれほど下がらず、ある程度攻撃も繰り出すことができている結果と推測できる。

②同点orビハインド時

次に、②同点orビハインド時について。

左は2023シーズン(第22節以降)、右は2024シーズンの時間帯別(後半のみ)ゴール期待値/被ゴール期待値(平均)のグラフである。

2023シーズンについて、試合終盤にかけてゴール期待値は高まっている反面、被ゴール期待値も高くなっており、終盤に向かうにつれゴールに迫る回数も増えた一方でピンチも増えており打ち合いのようなケースが多かった可能性がある。

一方、2024シーズンについては、試合終盤にかけて被ゴール期待値は低くなっていることに加えて、ゴール期待値は高くなっている。これは、相手を押し込んでチャンスを多く作れていることがデータとしても表れていると言える。

以上のように、得点/失点、時間帯別ゴール期待値/被ゴール期待値、状況別のゴール期待値/被ゴール期待値などのデータを見てきたが、2023シーズンに比べ今シーズンは一様に良好なデータとなっていることを見ることができた。

これらは直近の試合で個人的に感じる直観的な印象とも一致したものでしたが、どう感じたでしょうか。

最後に・・・

感覚的な部分がデータと一致するというのは取得できるデータが増えてきたことで多くなってきたのはとても面白い。一方で、まだまだ感覚的な印象とデータが一致しない部分も多くあると思っています。

なので、そういった部分をデータで可視化していければ面白いなぁと感じます。

それでは、また。

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