今シーズンも既に17節を終えて折り返し目前。
ここまで8勝2分け7敗の7位。
3連敗スタートとなったのち6試合負けなしとV字回復したが、その後はなかなか波に乗れず中位にとどまっている。
シーズン序盤から試合内容は間違いなく向上していますが、データ的に変化は見られるのか。
勝ち試合と負け試合の比較を中心に考察していきます。
※本記事のデータは、Football LAB内のデータを使用しております。
チャンスビルディングポイント(CBP)
まずはチャンスビルディングポイント(CBP)を比較。
CBPとは、「選手(またはチーム)が試合を通じてどれだけチャンス機会を構築することができたか」を独自のロジックにより数値化した指標です。選手(またはチーム)に対する評価方法が様々ある中で、「シュート機会への貢献」という観点での評価に軸足を置いています。
Football LABチャンスビルディングポイントとは | データによってサッカーはもっと輝く | Football LABフットボールラボ(Football LAB)はサッカーをデータで分析し、新しいサッカーの観戦方法を伝えるサッカー情報サイトです。選手のプレーを評価するチャンスビルディングポイントやプレースタイル指標、チームの戦術を評価するチームスタイル指標...
勝ち試合で負け試合よりも上回っているのは、「クロス」「シュート」「守備」の3項目。
攻撃面の多くの指標で負け試合よりも下回りながらも勝利に繋げられていたのは、「しぶとく守りながら効率的に点を奪うことができていた」ことが表れていると言える。
負け試合の視点で見ると分かりやすいかもしれない。
「攻撃」「パス」「ドリブル」の攻撃面3項目で勝ち試合よりも負け試合で大幅に高くなっており、負け試合では「勝ち試合よりもシュートには至っているが、得点に繋がらなかった(効率的に点を奪えていない)」、というように考えられる。
ちなみに、J1平均と比較すると勝ち試合、負け試合問わず「どの指標においてもほぼJ1平均以下」となっている。
今後優勝争いに食い込んでいくためにはデータ的にも伸ばしていく必要があるかもしれない。
なお、以前の【データでグランパス】で示した第1節~第8節の同一指標のグラフを振り返ってみる。
すると、第17節までのデータは明らかに各指標が改善されていることが明らかに。
AGIとKAGI
次に、AGIとKAGI。
聞きなれない指標と思われるので以下の引用を参考に。
「守備の際にどれだけ相手を前進させなかったか、相手を自陣ゴールに近づけなかったか」という観点から、チームの新守備指標「Keep Away from Goal Index」、略して「KAGI」を集計して公開します。具体的には、
- 相手の攻撃時間のうち、自陣ゴールから遠い位置でボールを持っていた時間の割合が高い
- 相手の攻撃が始まってから、自陣のペナルティエリアまで到達するのにかかった時間が長い
場合に高い評価となるように指標化しています。
Football LAB
「KAGI」と対になる指標として、「攻撃の際にどれだけ相手ゴールに近づけたか」を「Approach Goal Index」、略して「AGI」として公開します。「AGI」は「KAGI」とは逆に、
- 攻撃時間のうち、相手ゴールに近い位置でボールを持っていた時間の割合が高い
- 攻撃が始まってから、敵陣のペナルティエリアまで到達するのにかかった時間が短い
場合に高い評価となるように指標化しています。
Football LAB
AGI、KAGI両指標とも平均値では勝ち試合の優位性は見られない。
むしろAGIは勝ち試合のほうが平均値は低く、「粘り強く勝利した試合が多い」と言うことができるだろう。
最近の試合では鳥栖戦がAGI 64、KAGI 76といずれも良好な数値となっている。
この試合は内容、結果ともに完勝であり、データにも良く表れている。
一方、前節川崎戦は、AGIは57であるが、KAGIは42と低い値となっており、攻撃が上手くいっていた反面、相手に効率的に攻めさせてしまっていたこともわかる。
守備面・攻撃面の詳細データ
攻撃面と守備面それぞれのデータをもう少し細かく見てみる。
攻撃面は「30mライン侵入回数」「ペナルティエリア侵入回数」「ゴール期待値」の3指標。
これらから読み取れることとして、どれだけ攻撃を繰り出すことが出来たか、どれだけ相手ゴールに迫れたか、得点の可能性の高いシュートを打てたか、など。
例えば、30m侵入回数は多いけれどペナルティエリア侵入回数が少なくゴール期待値も小さい場合には、攻撃をしているものの押し込めていない(相手の守備ブロックの中まで入る込めていない)という状況が想像できる。
一方、守備面は「30mライン被侵入回数」「ペナルティエリア被侵入回数」「被ゴール期待値」の3指標。
攻撃の場合とは逆で、相手にどれだけ攻撃されたか、どれだけ自陣ゴールに迫られたか、失点の可能性の高いシュートを打たれたか、などが読み取れる。
攻撃面
まず、攻撃面。
面白いデータが見て取れた。
30mライン侵入回数は、最も多いのは鳥栖戦の55回であるが、鳥栖戦を除くと勝ち試合よりも負け試合のほうが多い傾向。
ペナルティエリア侵入回数も、鳥栖戦(24回)、柏戦(14回)を除くと、勝ち試合よりも負け試合のほうが多い傾向となっている。
また、ゴール期待値は2.0以上を記録した川崎戦(4.22点)、鳥栖戦(2.30点)が目立つが、平均で見ると勝ち試合1.26点、負け試合1.17点とあまり変わらない。
3指標いずれにおいても、勝ち試合で突出したデータはなく攻撃面であまり優位性はなさそう。
守備面
次に守備面。
3指標共に平均値で見ると、勝ち試合、負け試合ともにほぼ同等もしくは負け試合の方が良好な結果。
ここまで見ると、攻撃面、守備面ともに直近の試合で何が改善されたのか良く分からない。
<前半戦(第1節~第9節)と後半戦(第10節~第17節)で比較>
では「前半戦(第1節鹿島戦~第9節C大阪戦)」と「後半戦(第10節浦和戦~第17節川崎戦)」それぞれで平均をとってみるとどうだろう。
非常に面白いデータとなった。
攻撃面、守備面ともに前半戦平均(緑色)よりも後半戦平均(橙色)のほうがいずれの指標も良好な値となっていることが明らかとなった。
攻撃面では、ペナルティエリア侵入回数は前半戦6.9回よりも後半戦12.0回と5.1回も多く、ゴール期待値は前半戦0.78点に対して後半戦1.55点と0.77点も後半戦のほうが良好。
守備面で見ると、被ペナルティエリア侵入回数(少ない方が攻められていない、ということになる)は前半戦13.4回だったところが後半戦7.9回と5.5回も少なくなっている。
また、被ゴール期待値(少ない方が得点される可能性が高いシュートを打たれていない、ということ)は前半戦1.36点に対して後半戦1.09点と0.27点良好になっている。
浦和戦あたりから内容的にも上向いてきたことが感覚的にあったが、データにも良く一致していると言えるのでは。
データが試合結果に結びついていない要因としては、主導権を握りながらも決めきれなかった、安易なミスから失点してしまった、等々が端的には考えられるが、戦術の更なるブラッシュアップにより結果に繋がっていきそうな期待感が持てるデータが出ていると思うし、そう願いたい。
最後に・・・
もう少しでリーグも折り返し。
ケガ人がまた増えてきましたが、総合力で一つひとつ勝っていきたいですね。
秋口には優勝争いできる位置でベストメンバーが組めますように。
それでは、また。
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