VARって何??
「VARって何・・・?」
「中継で聞いたことあるけど良く分からない、、」
という方も多いのではないでしょうか。
VARとは、Video Assistant Referee(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の略称です。
ピッチ上の主審や副審とは別の場所で、複数の角度のカメラ映像を見ながら審判(主審、副審、第4の審判員)の判断をサポートするシステムのことを指し、主審や副審の判定の間違いを減らすためのものになります。
ではVARがあれば判定の間違いはゼロになり、すべてが正確に判定されるのでしょうか。
答えは、「No」です。
重要なのは、あくまで主審の判断をサポートするシステムである、ということ。
主審のグレーな判定すべてにVARが介入して都度プレーが中断していたら、試合のスムーズさが失われてしまいサッカーの魅力が低下してしまいます。
そのようなことにならないよう、VARの理念として「最小限の干渉で最大の利益を得る」という哲学があります。
そのため、試合結果に直結するような判定や事象のうち、「はっきりとした、明白な間違い」をなくすことがVARの基本的な考えです。
そのような考えからVARが介入できる要件は決まっています。
ここで「はっきりとした、明白な間違い」って何でしょうか。
「はっきりとした、明白な間違い」の基準は以下のようになります。
①主審の判定に対して、10人中8, 9割の人が誤審だと感じるケース
⇒「はっきりとした、明白な間違い」と言える
⇒VARは介入する
②主審の判定に対して、意見が半々に割れるようなケース
⇒「はっきりとした、明白な間違い」と言えない
⇒VARは介入しない(主審の判定を尊重する)
VARが介入できる要件は?
ではどんな事象でVARは介入できるのでしょうか?
介入できるのは、次の4つ+見逃された重大な事象、のみです。
①得点かどうか
②PKかどうか
③退場かどうか
④警告退場の人間違い
+見逃された重大な事象
①~④の事象において、「はっきりとした、明確な間違い」があった場合にVARは介入できます。
また、見逃された重大な事象でもVARは介入できます。
見逃された重大な事象とはどのようなものでしょうか?
ピッチ上の審判が事象を確認できずに判定することが出来なかったもの、例えば、プレーとは関係ない場所で相手選手を蹴ったり打ったりした、ペナルティーエリア内で守備側選手がボールを手で扱った、オフサイドというような主審の位置からは見ることができなかった事象が該当します。
VAR介入の流れは?VARが介入したら判定は覆る?
VARが介入できる要件は分かりました。ではVARはどのように介入するのでしょうか。
ファールなどの事象が発生したらすぐに介入する?
ベンチから抗議があったら介入する?
VARが介入したら、すべて判定は覆る?
答えは、すべて「No」です。
VARが介入する流れは次のように決まっています。
①対象となる、またはなりうる事象が発生する。
②主審が判定する。
③VARが該当事象を複数アングルの映像を活用してチェックする。
このときVARは必要に応じて主審と交信する。
主審はVARと交信する際には、片方の耳に指を当てながらもう一方の腕を伸ばすシグナルをする。
④「はっきりとした、明白な間違い」がないと判断した場合、VARは主審にチェックが完了したことを伝える。(チェックコンプリート)
⇒VARは介入しない
一方、「はっきりとした明白な間違い」があると判断した場合、VARは主審にレビューすることを提案する
⇒VARが介入する(⑤へ)
⑤主審は、TVシグナル(四角のテレビモニターの形を示す)をしてVARオンリーレビューもしくはオンフィールドレビュー(OFR)をする(⑥へ)
VARオンリーレビューは、VARからの情報のみで主審が最終判定を下すものであり、通常、客観的な事実に基づいて判定可能な場合に用いられる。
例えば、ゴールラインを超えた、即ち得点の場合、オフサイドの場合など。
オンフィールドレビュー(OFR)は、VARの提案をもとに主審自らが映像確認をして最終判定を下すものであり、通常、主観的な判断に基づく判定を下す場合に用いられる。
⑥主審は、レビューが終了したらピッチ上で改めてTVシグナルをした後、最終判定を下す。
以上のような流れでVARは介入します。
最も重要なことは、VAR介入があったとしても最終判定を下すのは主審である、ということ。
つまり、VARはあくまで主審の判定を補助するアシスタントの役割であり、主役にはなりえません。
このことを理解したいうえで観戦に臨めば一層楽しめそうですね。
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