【データでグランパス】主要指標と勝点に相関はある?グランパスの位置付けは!?

データ分析

前回の【データでグランパス】で今シーズンのグランパスのAGI, KAGIはいずれも50を下回り、チャンスビルディングポイント(CBP)も軒並みJ1平均以下であるデータを示した。

そこでいくつかの疑問が湧いてくる。

・各指標のグランパスの位置付けは?

・各指標と勝点に相関はある?

・J1の中でグランパスは普通のチーム?それとも特異的なチーム??

それらの疑問を考察すべく、データを更に深堀りしてみた。

今回使用した主な指標は、AGI、KAGI、ゴール期待値、被ゴール期待値、シュート成功率、そして勝点である。

※本記事のデータは、Football LAB内のデータ(今シーズンJ1第1節~第9節)を使用しております。

AGI(KAGI)とゴール期待値(被ゴール期待値)

まず、主要指標と勝点との相関を見る前に、主要指標におけるグランパスの位置付けを確認する。

攻撃指標としてAGI、チャンス構築率、ゴール期待値、守備指標としてKAGI、被ゴール期待値を使用。

AGI、チャンス構築率、KAGIそれぞれについて、ゴール期待値、被ゴール期待値期待値に対してJ1すべてのクラブプロットした。

なお、AGI、KAGIの定義は以下。

「守備の際にどれだけ相手を前進させなかったか、相手を自陣ゴールに近づけなかったか」という観点から、チームの新守備指標「Keep Away from Goal Index」、略して「KAGI」を集計して公開します。具体的には、

  • 相手の攻撃時間のうち、自陣ゴールから遠い位置でボールを持っていた時間の割合が高い
  • 相手の攻撃が始まってから、自陣のペナルティエリアまで到達するのにかかった時間が長い

場合に高い評価となるように指標化しています。

Football LAB

「KAGI」と対になる指標として、「攻撃の際にどれだけ相手ゴールに近づけたか」を「Approach Goal Index」、略して「AGI」として公開します。「AGI」は「KAGI」とは逆に、

  • 攻撃時間のうち、相手ゴールに近い位置でボールを持っていた時間の割合が高い
  • 攻撃が始まってから、敵陣のペナルティエリアまで到達するのにかかった時間が短い

場合に高い評価となるように指標化しています。

Football LAB

まず、AGIとゴール期待値。

AGIとゴール期待値には良い相関がみられた。

その中でグランパスはAGI、ゴール期待値ともにJ1全クラブ中最下位の20位。

一方でいずれもトップは現在2位の広島

AGIを類似指標のチャンス構築率に置き換えると相関係数は0.68⇒0.89となり強い相関がみられた。

チャンス構築率でもグランパスはJ1全クラブ中最下位の20位だった。

トップは広島の15.0%

次に、KAGIと被ゴール期待値。

こちらは両者に負の相関がみられた。

その中でグランパスはJ1クラブ中でKAGI 18位、被ゴール期待値は14位と攻撃指標に比べて良好ではあるものの低い位置付けとなっていた。

ここでもトップは広島となっており、攻撃指標、守備指標いずれでも広島は充実していることがはっきり表れている。

各指標と勝点の相関

では各指標と勝点の相関関係はどのようになっているか。

AGIと勝点の相関係数は0.19と相関はみられない。

その中でグランパスは集団から少し離れた左上の位置に。

(AGIは低いけれど勝点は多い)

また、KAGIと勝点の相関係数は0.36と弱い相関がみられた。

グランパスはここでも集団の左上。

(KAGIは低いけれど勝点は多い)

次に、ゴール期待値と勝点の相関係数は0.51と正の相関がみられた。

ここでもグランパスは集団から少し離れた左上の位置。

(ゴール期待値は低いけれど勝点は多い)

逆に、被ゴール期待値と勝点の相関係数は-0.65と負の相関がみられた。

グランパスは集団の右上の位置であり、上位5チームの中では被ゴール期待値は低め。

特に攻撃指標の2つのグラフで他クラブのプロットからは少し離れた位置にグランパスはいるが、グランパス含めた全20クラブとグランパスを除く19クラブの相関係数を比較することでグランパスが特異的なチームなのかそれとも普通のチームなのかを考察してみた

安易な考えだが、グランパス含めた20クラブよりもグランパスを除いた19クラブの相関係数が変わらないまたは低下した場合、グランパスは一般的な指標と考えることができる。逆に、グランパス含めた20クラブよりもグランパスを除いた19クラブの相関係数が向上していればグランパスは特異的なチームと考えることができそう。

すると面白いデータが得られた。

攻撃の2指標(AGI-勝点、ゴール期待値-勝点)と守備の1指標(KAGI-勝点)の3指標において、グランパスを除いた19クラブのデータにした場合相関係数の明確な向上が見られた。

つまり、グランパスは多くのクラブの傾向には当てはまらない特異的な尖ったチームである、ということが言えそう。 特に攻撃指標においては顕著で、全クラブの場合とグランパスを除いた19クラブの場合の相関係数の差は0.20(AGI-勝点), 0.14(ゴール期待値-勝点)と大きく向上が見られた。

グランパスが良好な指標は!?

主要指標において軒並みグランパスの数値は低めだったが、良好な指標はあるだろうか。

すると1つ良好な指標が見つかった。

シュート成功率である。

シュート成功率はFC東京に次ぐ2位であり、13.2%と高い数値。

(シュート7~8本打ったら1点入る確率)

ゴール期待値が低いながらもシュート成功率が高い(=決定力が高い)ことは難しい試合を勝利に繋げられている1つの大きな要因といえる。

最後に・・・

現時点グランパスの攻撃指標の数値は低いが、ここに山岸、キャスパーが戻ってきたらどのように変わっていくか、という点はとても興味深いところ。

今後もいろんな視点で見ていきたいと思います。

それでは、また。

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